現在5年連続でNBAファイナルに進出中のウォリアーズ。
1回目から4回目のファイナルの対戦相手は、全てレブロン率いるクリーブランド・キャバリアーズでした。
4回のうち勝負が第7戦までもつれたのは一度だけで、その1回が唯一ウォリアーズの敗れたシリーズです。
ウォリアーズファンにとって、この運命の第7戦は忘れたくても忘れられないもの。
最近になってステフィン・カリーも、この試合への後悔をコメントしています。
絶対的に有利と思われていたウォリアーズ
歴代1位の73勝9敗でレギュラーシーズンを終えたウォリアーズは、プレーオフ・カンファレンスファイナルでまさかの敗退危機に。
1勝3敗に追いつめられる事態になりながらも、奇跡の逆転勝利を成し遂げました。
楽勝でNBA優勝にまでたどり着くと思いきや、思わぬところでの大苦戦
→しかしこれを史上稀に見るカムバックで乗り切る
カンファレンスファイナル突破時点では、ウォリアーズには何か見えない力が働いているかのような、完璧なシナリオの中にいました。
これが、「主人公補正」というやつかと。
長らく『西高東低』が続いていた状況下では、NBAファイナルの相手となるキャブズよりもサンダーの方が手ごたえのあるチームだったとも思われ、
ウォリアーズの優勝はファイナル開始前の時点で決まっているようなものだと。
ウォリアーズの3勝1敗
予想通り、ゲーム1は11点差・ゲーム2は33点差でウォリアーズが2連勝。
あまりにも順当すぎる、ウォリアーズホームで行われたファイナルの序盤でした。
第3戦はキャブズが30点差の勝利で一矢報いたものの、続く第4戦ではウォリアーズが危なげなく11点差の勝利。
最初の3戦ではカリーが全て10得点台に止まっているというウォリアーズ唯一の不安要素がありましたが、この第4戦ではそんなカリーが復活の38得点を挙げる大活躍。
ようやくのカリーらしい活躍もあったし、これで晴れやかな気持ちでチャンピオンリングを取れるなと。
やっぱりサンダーとのカンファレンスファイナルが、事実上のNBAファイナルだったな〜なんて思っていました。
この3勝1敗のリードを奪った時点で、「いや、まだ油断は禁物だ!」と考えていたウォリアーズファンは皆無だったのではないでしょうか。
当時のWOWOW NBAによく出演していた声優の谷山紀章さんも、ウォリアーズが3勝1敗となった時点でこんなツイートをしています。
ウォリアーズ推しだしカリー好きだし今まで取り立ててレブロンを応援してこなかったけど、さすがにこりゃどうかと思う。これでいいのかい?もっとなんか超えたプレーを魅せてくれよキング!黙らせておくれよ辛苦。穫りたいんだろリング
— 谷山紀章 (@kishownstarmaps) 2016年6月6日
まさにこのように、ウォリアーズが優勝するのは前提として、「このまま楽勝するのでは面白くないから、キャブズはもうちょっと頑張ってシリーズをもっと盛り上げてくれ!」と思っているウォリアーズファンは結構いたはずです。
ウォリアーズの悪夢が始まる
さて、問題はこれからでございます。
ゲーム5、ゲーム6でウォリアーズは連敗。
それぞれ15点・14点差での敗北でしたね。この時のウォリアーズの覇気の無さはよく覚えていますとも。
一方で、魔王レブロンはこの2戦両方で41得点の大活躍。
あらあらあら?
という感じでシリーズは気づけば3勝3敗のタイに。
ただ、この時ウォリアーズ推しの自分が、後がなくなったことに焦っていたかと言われれば、そうでもなかったですね。
ウォリアーズの優勝は最初から確定していて、ただそこに行き着くまでの過程を楽しんでいる心地だったので。
多少は緊張感が高まりつつも、ゲーム7でウォリアーズが勝利してめでたしめでたしとなる展開を疑いませんでした。
『ウォリアーズvsキャバリアーズ』運命のゲーム7
そして迎えた、オラクルアリーナでのゲーム7。
3Q終了時点でウォリアーズ1点リードのスリリングなゲーム。
それでも、どうせ最後はウォリアーズが勝つと思っていたからそこまで心拍数は上がっておらず。
第4Q、歴史に残るレブロンのイグダーラへのブロックが炸裂した時も、まだ平常心。
しかし、これまたNBA史に刻まれたであろう、残り1分を切った場面でのアービングのカリー越しの3P。
ここで初めて、ウォリアーズの敗北を一瞬意識しました。
『あれ、コレやばいんじゃない?』と。
残り1分からの場面は、こちらのノーカットハイライトで観てもらった方が臨場感がありますね。
アービングの3Pで冷や汗、そしてカリーの3P失敗により、テンション急降下。
残り30秒でのステフィン・カリーのシュートセレクション
ケビン・ラブがこの試合で影のMVPと呼ばれるのは、同点3Pを狙うカリーを食い止めたこのディフェンスがあったからです。
Steph wishes he would’ve handled things differently pic.twitter.com/ZKWAC9xbTZ
— Bleacher Report (@BleacherReport) 2019年6月4日
明らかに3Pだけを選択肢としていたカリーに、ラブは十分なスペースを与えませんでした。
最近になって、カリーがこの場面について振り返るコメントをしています。
思い返してみれば、この場面で僕は簡単に2点を取りにいくことができた。
そのあとに僕らはディフェンスで相手を止めて、もう一本のシュートを決めれば良かったんだ。
そうすれば、僕らはチャンピオンシップを勝ち取れていた。
ヒーロショットなんて狙わずに、そうするべきだった。
あのシュートは、自分を抑制しきれずに放ってしまったものだ。
その代償がチャンピオンシップだったね。
カリーがボールをフロントコートに運んだ時点で、試合の残り時間は49秒ありました。
点差は3点。
この時のウォリアーズが3Pだけを狙いに行ったのが正しかったのかは、確かに微妙。
不可能を可能にしてきたカリーの3Pも、この時のショットに関しては打った瞬間から入らなそうな予感がしましたね。
明らかに、自分のペースで打てていなかったので。
カリーが言った通り、スピードのミスマッチがあるラブ相手には、簡単に2点を取ることができたかもしれません。
1点差に縮めた上で、残り30数秒でキャブズのポゼッションに移っていれば、確かに勝負はわからない。
ただ、これもタラレバ論であって。
まず2点を確実にとっておいて結果逆転できなかったのであれば、何故あの時3Pを狙わなかったのか、となるだろうし。
単にウォリアーズが、レブロンの超絶ブロック&アービングのクラッチ3Pを上回るパフォーマンスができなかったという話。
ちなみに、『簡単(Easily)に2点を取ることができた』とのカリーのコメントには、当時のマッチアップ相手だったラブが反応を見せています。
Easily. https://t.co/xSoClgDjVo
— Kevin Love (@kevinlove) 2019年6月4日
一生忘れないゲーム7
ここでウォリアーズが2連覇を達成できなかったことが、ケビン・デュラントの加入という規格外の事態をもたらしたのは言うまでもありません。
その後、チート集団と化したウォリアーズに他チームが対抗するべく、スター選手の移動が相次いだことを考えれば、この年のゲーム7は、後のNBAに大きな影響をもたらしたと言えそう。
デュラントには今でも「招集メンバー」のような印象を持ってしまうので、2016年ファイナル当時の言わば「正規メンバー」で連覇を達成して欲しかった気持ちは強いです。
もう数年は経たないと、このゲーム7の映像をゆとりある心で観ることは難しいかも。