ケビン・デュラントには基本、不調というものが存在しません。
プレイヤーとして「華」があるのはチームメイトのステフィン・カリーの方かもしれないけど、安定感では抜群にデュラントが勝ります。
そして抜群のシュート精度に加えて、どんな試合の流れでも、躊躇なくリングを狙い続けるメンタリティも、デュラントの魅力の一つです。
常に主体的であり続けるケビン・デュラント
こちらは、2016-17シーズンに話題となった1シーン。
試合終盤の重要な場面、一度目のシュートを失敗した後、トップでボールを持ち直し、形を整えようとするカリー。
ここで、強引にも見える格好で、デュラントがボールを要求しました。
そして、投げやりにデュラントにボールを渡すカリー。
この流れに不満を露わにするグリーンにも注目です。
このシュートを外し、さらに試合にも敗れたとだけあって、ゲーム後のデュラントへの評価は「自己中な戦犯野郎」といった具合。
これはウォリアーズを応援していた自分も、「何やってくれてんだ新参者が」ぐらいに思っていました。
ウォリアーズ加入1年目だった選手が、これまでのチームの核として活躍してきた選手を放置して、よくもまあ、と。
…ここまで言っておいて、この場面を今から徐々に美談にしていきます。
まず、あの状況下でチーム戦術を無視し、自分一人で勝負を決めに行こうとする精神性は『異常』ですよね。
綺麗な言い方をすると、「メンタルが強い」とかで言い表すことになるでしょうが、この手の選手はシンプルに、異常なメンタリティを持った生物だと思っています。
結果がすべてのスポーツの試合では、シュートを失敗したことによって、ただの「自己中心的な選手」としてレッテルを貼られますが、
チームを勝利に導く大胆なビッグショットを決めるためにもまた、この異常なメンタリティが必要になるはずです。
このシーズンのNBA FINAL第3戦で魅せた、キャブズを地獄に落とす逆転クラッチスリーも、このメンタリティを持ったデュラントだから成せたこと。
1点ビハインドでまだ時間は十分にある中、リバウンドをとって速攻で自ら3Pなんて、これも外していたら炎上ものです。
しかし決めたからこそ、ウォリアーズのヒーロー、そしてキャブズにとっての死神として昇華しました。
コービー・ブライアントとケビン・デュラント
デュラントはNBAの歴代ベスト5として、以下のメンバーを挙げています。
- PG:マジック・ジョンソン
- SG:コービー・ブライアント
- SF:マイケル・ジョーダン
- PF:ティム・ダンカン
- C:シャキール・オニール
あまりコービーとジョーダンが同じスターティングメンバーの中に入れられることはないですが、MJを正規ポジションからSFにズラして、コービーを選出したデュラント。
コービーが現役の頃から、デュラントはブラック・マンバへのリスペクトを何度もコメントしています。
コービーからは、『ボールを触ったら、常にシュートを狙え』と学んだと。
Shooters shoot. pic.twitter.com/Lp6jPre7vK
— Bleacher Report (@BleacherReport) 2017年8月23日
コービー・ブライアントは、まだ実力も不十分だった1年目のプレーオフセミファイナルで、ビッグネームの先輩たちを押しのけて入りもしないシュートを打ち続け、
5分間で4本のエアーボールを記録した、正真正銘のイかれた選手です。
他にも、デビューして早い時期から結果を残していた、同期のアレン・アイバーソンへの狂ったライバル心とか。
しかしこのコービーのメンタリティが、後々数多くの大記録を生むことになりました。
「ヒーロー」と「異常者」は、表裏一体です。
そしてコービーをリスペクトするケビン・デュラントにも、この狂った競争者としてのメンタリティが備わっています。
コービーのメンタリティを受け継ぐデュラント
デュラントのウォリアーズ移籍が発表された時には、NBA史上最大級とも言える批判が、デュラントの元へと押し寄せられました。
この時のNBAファンの論点は、「デュラントのウォリアーズ移籍を支持できるかどうか」というものになっていましたが、
異次元の競争者であるコービーは、まず持っている視点が違います。
真の競争者であるなら、現実を見据えてこう言うべきだ。
「OK、やってやろうじゃないか。そっちがどれだけの選手を揃えようとも気にしないさ。勝つのは俺たちだ」
NBA界には多くの名言が存在しますが、その中でも抜群にイケてる格言だと思っています。
かっこよすぎませんかね…。
コービーは常に、勝利のために前へと進む選手でした。
そして、勝利のために必要なものこそが、自分のパフォーマンスだと信じてきたわけですね。
コービーから影響を受けてきた現役選手はたくさんいますが、第一線のプレイヤーとして、デュラントはその代表格です。
30歳になったデュラントに落ち着く様子はなく、これからもアグレッシブに、そして貪欲に、勝利を求めていくことだろうと思います。
コービーリスペクターの時点で見逃せない選手筆頭のデュラントは、これからも注目必須です。
注目してなくても、デュラントの話題は飛び込みまくってくるだろうけど。