NBAで14シーズンをプレーしたボリス・ディアウが引退を表明しました。
昨季でのユタ・ジャズや初優勝を果たしたサンアントニオ・スパーズを含め、キャリアで合計5チームを渡り歩いたディアウですが、僕にとっては第一線で活躍していたフェニックス・サンズ時代が最も印象的。
ナッシュ時代のサンズをリアルタイムで追っかけしていた(TV画面前で)自分としては、黄金期のサンズメンバーの一人であるディアウには思い入れが強いですね。
MIPを受賞した2005-06シーズン
04-05シーズン前にスティーブ・ナッシュが加入し、長年ドアマットだったサンズは一気に強豪に。ナッシュはシーズンMVPも受賞しました。
ナッシュ加入1年目のサンズの凄さについては、こちらの記事をご覧ください。
⇒伝説の”7秒オフェンス”について語ったQ.リチャードソン – NBA ROOM
ところが、05-06シーズン開幕前のサンズの評価は極めて低いものに。当時主力選手だったクエンティン・リチャードソンとジョー・ジョンソンがチームを去ったこと、さらにチームの大砲だったアマレ・スタウダマイヤーが故障離脱したことが要因でした。
結果的に、サンズは前評判を覆し強豪の地位をキープすることになるんですが、これは前年以上のパフォーマンスで2年連続のMVPを受賞したナッシュの存在と、開幕前には全くと言っていいほどに期待されていなかった新加入選手の思わぬ大活躍によるものです。
ブレイクした新加入選手は、3&Dプレイヤーのラジャ・べルとオールラウンダーのボリス・ディアウの二人。ラジャ・ベルのことも語りたくてウズウズしますが、今回はディアウオンリーで。
主要スタッツが倍以上に
この05-06シーズンが、ディアウのNBAキャリア3年目でした。
出場機会が大幅に増えたこともあり、ディアウの個人成績は急上昇。
前年のホークス在籍時には4.8得点 2.6リバウンド 2.3アシストだったスタッツは、サンズに加入して13.3得点 6.9リバウンド 6.2アシストにまで伸びました。完全なるトリプルダブル待機勢スタッツ。
このシーズンには、4度トリプルダブルを記録しています。
近年ではマルチに活躍する化け物プレイヤーが多くなりすぎてトリプルダブル達成の価値が薄れていますが、当時であればシーズンに4度も記録していれば結構なニュースになっていました。
ちなみに、このシーズンのトリプルダブル最多達成はキッドの8回、2位がレブロンの5回、そして3位がディアウ。
プレーオフでは得点面でさらにギアを上げ、平均18.7得点を記録していました。
こちらの個人ハイライト動画は、激戦となったカンファレンス・セミファイナルでのクリッパーズとの一戦より。
身長203センチでのこの機動力は希少価値が高い。センターを任されることも多かったですね。
当時まだNBAを見始めて数年だった自分にとって「動けるセンター」というのは完全に新人類でした。
個人として飛躍を遂げたこの05-06シーズンに、MIP賞を獲得しました。
黄金期のサンズを語る時には、登場人物としてディアウの名前を出すことは必須です。
サンズで3シーズンプレーした後、4年目の2008-09シーズン途中にシャーロットへ移籍。この時は悲しかったですね。
シャーロットではチームとしても個人としても苦戦続きでしたが、スパーズに移籍してからはまた持ち前のマルチプレイヤーっぷりが評価されることとなりました。
現時点でスパーズ最後の優勝となっている2014年の栄冠には、ディアウの存在が不可欠だったはずです。
パーカー、ジノビリに加え、ディアウまで。スパーズ優勝時代のメンツもほとんどが解体されることになりましたね。
14年のキャリアに幕
36歳のディアウは、まだ現役のレベルだったと思います。
でも、引退。シンプルに、寂しい。
2000年代からNBAを観ていた自分にとっては、ディアウの引退もまた一つの時代の終わりを感じさせるものです。