2016-17シーズンに平均28.9得点を記録してチームをイースタンカンファレンスに導き、シーズンMVP候補となった実力者。
たった2シーズン前の出来事でしたが、そんな選手がその後現在に至るまでに3チームを渡り歩くことになるだなんて、想像もできなかったですね。
苦労人アイザイア・トーマスのこれまで
ドラフト最下位(60位)でNBAデビューを果たすと、期待以上の活躍をあげて、キングスでの3年目には平均20.3得点をあげました。
2014-15シーズンからはサンズでプレーし、シーズン途中でセルティックスに移籍。
セルティックス1年目では控えとしての役割でしたが、2年目の2015-16シーズンからは一気に主力に抜擢され、ここからようやくトーマスの時代が到来したという感じ。
オールスターにも選出され、スター選手の仲間入りを果たしました。
間違いなくキャリア最高潮だったと言える翌16-17シーズンは、1年を通してトーマスの話題を聞くことが多かったですね。
「リーグ最高の選手の一人」というポジションにまで上り詰めていた印象でした。
レギュラーシーズンでは、キャリアハイの52得点を記録しています。
オールスターにも2年連続の選出。
シーズンを平均28.9得点で締めくくり、ボストンセルティックスはイースタンカンファレンス1位でレギュラーシーズンを終了しました。
この年のシーズンMVP投票では、ウエストブルック、ハーデン、レナード、レブロンに次ぐ5位になっています。
はるか昔のお話に思えるけど、たった2シーズン前なんだよなあ…
レギュラーシーズンを絶好調で終えながらも、プレーオフ開幕の前日には、妹のチャイナ・トーマスさんが交通事故で亡くなるという痛ましい出来事がありました。
メンタル的に相当辛い状況の中、ファーストラウンドをなんとか勝ち抜き、ウィザーズとのセミファイナルまでセルティックスを導いたトーマス。
セミファイナルの第2戦は、亡くなった妹さんの誕生日に当たっており、トーマスにとっては計り知れない意味を持った試合になりました。
この試合が、現時点でのトーマスの最高の試合と言えます。
キャリアハイの53得点を記録し、チームも勝利。
これは…
ドラマチックでした。
カンファレンスファイナルでキャブズに敗れ、残念ながらシーズンエンドとなりましたが、トーマスの実力を誰もが知ることになった1年となりました。
ドラフト最下位からのオールスター出場、175センチという低身長での平均28.9点、悲しみを乗り越えてのプレーオフでの奮闘など、トーマスは「逆境を乗り越える男」という印象が強い。
キャブズ移籍で全てが狂う
個人としても、チームとしても順風満帆だったのに。
これが真っ当な物語だったのなら、このタイミングでトーマスの移籍が実現するはずがない。
もともとは、カイリー・アービングがキャブズ退団を希望したのが発端ですね。
退団を希望していることが世に知れた時点で、少なくともアービングと誰かしらとのトレードが実現するのだろう、とは予想できました。
ただ、セルティックスと交渉が行われているとは思いませんでしたね。
まさかの、アイザイア・トーマスとのトレード。
イースタンカンファレンス1位にまで上り詰めていたチームが、あえて大きな方向転換をする必要があるのかと思ったものです。
トレード成立当時は、「アービングがセルティックスに移籍!」というニュースばかりが話題となり、入れ替わりのトーマスは全く注目されていないという不遇の扱いでした。
かつて、アイバーソンがナゲッツからピストンズに移籍した時のトレード要員であった、チャウンシー・ビラップスもこんな感じでしたね。
ただ、ビラップスに関しては結果ナゲッツによく馴染み、アイバーソンよりも高い評価を受けることになっていました。
一方で、トーマスはキャブズのシステムに順応することができず。
16-17シーズンのプレーオフから抱えていた怪我によるコンディションの悪さも、持ち味を出し切れなかった理由の一つだったはずです。
最近になって、トーマスが当時のキャバリアーズの居心地の悪さを漏らしました。
レイカーズではベンチプレイヤーに
で、シーズン中のトレードデットライン直前に、これまたまさかのレイカーズ移籍。
もうこの時点で、痛々しいほどに不憫でした。
レイカーズは新人のロンゾ・ボールを中心とする方針をとっており、トーマスは控え選手としての役割を受け入れることに。
そこで嫌な顔をせず、ロンゾのサポート役を受け入れる姿勢を見せていたのは、好感度が高かったです。あの時の君の寛大さを、レイカーズファンは忘れないぞ。
激動となった17-18シーズンのスタッツは、15.2得点 4.8アシスト FG37.3%に落ち込みました。
得点に関しては、前年の28.9点に比べて、半分近く減少したことになりますね。
新天地ナゲッツでの年棒は…
このままレイカーズで、ロンゾのメンター的ポジションにいてくれればなあ..と願いつつも、結局は出て行ってしまうのではという予感が強かったトーマス。
案の定、またも新天地へ動くことになりました。
来季からの所属チームはナゲッツです。
これが、トーマスにとって6つ目のチーム。
心にグサッときたのは、ナゲッツとの契約がベテラン最低保証年棒(200万ドル)でのものという点ですね。
2年前の平均28.9得点男が、こんな引き取られるような形で…
長らくスター選手としての地位を保ち続けるには、「運」も必要になるのだと思わざるをえないこの不遇さですね。
現在の状況としては、ドラフト最下位でNBAデビューした頃、つまりは振り出しに戻ってしまったという具合でしょうか。
最下地点からオールスターにまで上り詰めたように、ここからの巻き返しを期待したいです。
現在29歳であり、これまでのトーマスのバイタリティを考えれば、2度目の下克上の可能性も十分なはず。
アイザイア・トーマスを応援します。