サムネイル画像:Michael Tipton by CC PHOTO
サンダーからFAとなっていたケビン・デュラントが、ウォリアーズへ移籍しました。
ここ数年のNBAで最も衝撃的な移籍ニュースですね。
あまりNBAがポピュラーでない日本でもTwitterでトレンド入りするほど。
NBAニュースが2位にランクインすることが過去にあったんだろうか。
それにしても、今シーズンのオフでは移籍情報が目まぐるしい。ビッグネームが次々と新天地に移動していっています。
⇒パウ・ガソルがスパーズへ移籍!GSWとの戦力を比較してみた
得点王4回、そしてMVP受賞者でもあるデュラントが加わることで、ウォリアーズの戦力は上がるだろう、というのが普通の考えです。
既に来シーズンの優勝は間違いない、と言っているNBAファンが多数。
ただ、昨シーズン優勝こそ逃しはしたものの、レギュラーシーズンでは73勝9敗という歴代最高の結果を残したウォリアーズは、まぎれもなく元から強いチームです。あえてこれほど大胆な補強をする必要があったのか、とも考えてしまいます。
ウォリアーズの個性は失われないか
15‐16シーズン中ウォリアーズを応援していた自分的には、今回のデュラント獲得は、どれだけ強いチームになるんだろうというワクワク感がありつつも、正直言って少し不安な気持ちもあります。
今のウォリアーズは、これまでのNBAチームとは一風変わった魅力を持ったチームです。
かつてのアイバーソンやレブロンのように、NBA入団前からスーパースター扱いだった選手はまずいません。
MVPステファン・カリーも入団前では身体の線が細すぎるなどと言われてNBAでの活躍を疑問視されていたし、今ではアメリカ代表にまでなったドレイモンド・グリーンもドラフトの2巡目で指名された選手。
そんな選手達が団結して強いチームになったからこそ応援していて面白いし、感動があるんですよね。
また、いい意味での”危なっかしさ”もウォリアーズの魅力の一つです。レギュラーシーズンで歴代記録を樹立した、という結果だけを聞いたら、シーズンを通してさぞ圧倒的だったのだろうと普通は考えると思います。
しかし、ウォーリアーズの各試合を見ていた方はお分かりの通り、前半20点近くのビハインドを逆転して勝った試合、粘って粘っての終了間際での決勝シュートでなんとか勝った試合などの積み重ねが”73勝9敗”という結果でした。勿論、圧勝で終わる試合もたくさありましたが。
個人に関して言っても、試合が終わってみれば30得点オーバーで勝利の率役者となったステファン・カリーも、試合序盤ではまったくシュートタッチがとれずにミスを連発していたり。
そんなチームだからなのか、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ今シーズンでさえ、開幕からファイナルまでを通してどこか「挑戦者」というような雰囲気を感じていました。
そんなウォリアーズがデュラントの加入によって来シーズンからは恐らくスター軍団扱いをされ、「優勝以外許されないチーム」になってしまうのはちょっとさみしい気もします。
ただ強いだけの、無難なチームにならないことを祈りたい。
スプラッシュブラザーズはどう変わるか
また、各選手の個人スタッツが落ち込んでしまうのではないかということも気がかりです。
ウォリアーズの選手には「勝つことが一番の目的であって個人成績は関係ない」、などと言われそうですが、やはりファンとしては好きな選手たちの平均得点は気になります。今シーズンは平均30.1得点で得点王のカリー。相棒のクレイ・トンプソンは平均22.1得点。
二人は歴代屈指のクイックリーリースのできるシューターなので、それほどボール保持の時間をかけなくても得点を重ねることができます。なので、どちらかと言えば他選手の干渉は受けにくいプレイヤーであると言えるのかと。
デュラントはカットインしてのダンクあり、ポストアップからのミドルあり、ロングレンジもありの何でも屋ですから、自分の色をチームに合わせることもできそうに思えます。
単純な考えですが、デュラントのリングにアタックする機会・もしくはローポスト付近でのポストプレイなどの比較的ゴールに近い位置でのプレーを増やし、カリーやトンプソンなどのアウトサイドプレイヤーとコンビネーションを図るのがいい共存方法かなと思います。
カリーとトンプソンがアウトサイドにいれば、カットインするデュラントにはカバーディフェンスは行きにくそうですよね、相手チームからすると。
歴代最強の3Pコンビに、フリーの状態でキックアウトされるというシチュエーションは絶対に避けたいはず。かと言ってデュラントへのディフェンスも手薄にできないし…
そして、デュラントのカットインを恐れてボールマンディフェンダーが距離を取ってしまうと、今度はデュラントのアウトサイドがさく裂してしまうはず。
考えれば考えるほど厄介なチームになりましたね、ウォリアーズ。
ちょっと昔を振り返ってみる【2005‐06シーズンのマイアミ・ヒート】
僕のNBA視聴歴は2004-2005シーズンからですが、今までで「元から強かったチーム」が、オフシーズンに大きな補強をして次のシーズンで優勝をしたことって、ほとんど記憶にないんですよね。出来上がっているチームケミストリーを再構築することはやはりプロでも難しいということなんでしょうか。
僕の記憶では、2005‐2006シーズンのマイアミヒートくらいです。
当時のヒートは、若さにあふれたスピードスター、まさに”FLASH”であったドゥエイン・ウェイドと”NBA最強センター”であったシャキール・オニールという二枚看板を掲げるチームでした。
04‐05シーズンには、レギュラーシーズンをカンファレンス1位で終えて優勝を期待されながらも、カンファレンス・ファイナルでディフェンディング・チャンピオンであったデトロイト・ピストンズに惜しくも敗れてしまいます。
このまま来シーズンに期待、というところでしたが、ここでヒートのフロント陣は大胆な戦力補強を実行。5チームの絡む大規模トレードで、ゲイリーペイトン、ジェイソン・ウィリアムス、ジェイムス・ポージー、アントワン・ウォーカーを獲得。豪華すぎる顔ぶれです。
あまりに多くのことをやりすぎたのではないかと言われながらも、05‐06シーズンでは見事優勝。スター軍団チームでしたが、なんだかんだで結局はウェイドのチームだった、という印象でした。特にFINALでは独力で全てをこなしてしまったという感じ。それほど、当時のウェイドは圧倒的でした。
⇒【全盛期】ドウェイン・ウェイドのヒートでの13年間まとめ!
新生ウォリアーズを早く見たいのは間違いない
色々と考えてみましたが、なんだかんだ言ってみても実際に試合を見てみないとわからないのがNBAですよね。シーズン開幕前の予想とは全く異なる結果を残すチームをこれまでにたくさん観てきました。
まとめとしては、今までのウォリアーズの色を変えずに、デュラントがチームに溶け込むことが理想です。
難しくて雑な注文ではありますが、やっぱりウォリアーズはこれまで通りのウォリアーズでいて欲しい…。
来シーズンのウォリアーズに期待です!